京都伝統産業ミュージアム(京都市左京区、運営:株式会社京都産業振興センター)は、2026年3月22日(日)、伝統産業の新たな可能性を示す『第2回 京都クラフトアンドデザインコンペティション「TRADITION for TOMORROW」』の授賞式を開催し、受賞作品を発表いたしました。
本コンペティションは、伝統産業の技術や素材を現代の生活に活かす提案を募るもので、今回は10代から70代まで、北は宮城から南は沖縄、海外はアメリカ、メキシコと、国内外から138件の応募が寄せられました。厳正な審査の結果、林業課題の解決を視野に入れた木工ベンチや、伝統技法「金彩」を施したスウェットシャツ、沖縄の伝統織物をジーンズに昇華させた作品など、現代の暮らしに調和した受賞作品が決定しました。
◉グランプリ:「BENCH ”A”」 ドイケイイチさん
作品概要: 京都府産のヒノキを使用した、シンプルながらも緻密な設計の二人掛けベンチ。
・工芸分野:木工
・使用素材:檜(京都府産)
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▼選定理由 |
◉準グランプリ:「POP松竹梅」 三宅工芸 × 京都精華大学
作品概要: 和装花嫁衣装の装飾技法「金彩」を施した、家庭での洗濯も可能なスウェットシャツ。
・工芸分野:金彩・京友禅
・使用素材:綿、銀箔、金属箔
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▼選定理由 |
◉学生部門賞:「ラミージーンズ試作型 - アキヅ」 沖縄県立芸術大学大学院 大月 凪 (おおつき なぎ)
作品概要: 沖縄の伝統的織物(ラミー/苧麻)を用い、琉球藍や天然染料で染め上げたジーンズ。
・工芸分野:織
・使用素材:経糸:ラミー(染色:琉球藍、インド茜) 緯糸:ラミー(染色:フクギ)
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▼選定理由 |
◉オーディエンス賞:「ハイスツール」 古谷 禎朗 (ふるたに よしお)

作品概要: 京都相国寺の欅(けやき)を使用し、拭き漆で仕上げたカウンタースツール。伝統的な指物技術である「角ホゾ」で組み上げ、全ての接合部を滑らかに削り出すことで、面が自然に流れる造形を実現しています。深い座刳り(ざぐり)と腰を支える立ち上がりにより、身体にフィットする実用的な座り心地を追求しています。
・工芸分野:木工
・使用素材:欅、漆
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オーディエンス賞は 2月7日〜3月8日の投票期間中に、作品展来場者の一般投票で選ばれた賞です。1,441票の投票のうち本作品は最多の89票を獲得し、オーディエンス賞に選定されました。 |
◉審査員特別賞(2作品)
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| 「創扇あおぎ」 株式会社清水商店 | 「馳走金具御膳【寿司】」 東京藝術大学大学院 藤本 春華 (ふじもと はるか) |
| 作品概要:扇骨(中骨)を使わない独自の構造で、扇ぐ道具としても飾り扇としても楽しめる新しい形の扇。 | 作品概要: 伝統的な彫金・打ち出し技法を駆使し、金属の化学変化による発色のみで寿司の鮮やかな色彩を再現した工芸作品。 |
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▼選定理由 ・ 課題への技術的回答: 深刻な扇骨不足という業界の課題に対し、骨を使わずに形を成すという大胆な発想の転換で、現代的な造形美を実現した点が高く評価されました。 ・伝統の再構築:既存の扇子の概念を覆す形状でありながら、繊細な手仕事の質感や優雅さを損なわず、現代の感性に響くデザインへと昇華させている点に期待が寄せられました。 |
▼選定理由 ・ 技術と遊び心の融合: 本来は仏壇等の脇役である錺(かざり)金具の技法を、あえて「寿司」という身近なモチーフに投じた、高い精緻さとユーモアの共存が高く評価されました。 ・伝統の新たな翻訳:専門性の高い伝統技法を、世代や国籍を問わず直感的に「凄さ」と「楽しさ」が伝わる形へアップデートした、学生ならではの柔軟な視点が光りました。 |
◉みやこめっせ社長賞(主催者による特別賞、2作品)
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| 「筒型組子細工行燈「望郷」」佐伯 崇広 (さえき たかひろ) | 「陽陰|二相を奏でる西陣織ドレス」 HOUSE of DAISHO |
| 作品概要:従来は四角形や多角形が主流の組子細工を、試行錯誤の末に筒型へと組み上げた行燈。二重菱(にじゅうびし)などの伝統柄を組み合わせ、故郷の山並みを表現しています。 | 作品概要: 母娘が同じ西陣織を帯やドレスとして共に纏う「体験」を提案し、結婚式における感情を「陽と陰」に見立てて仕立てた2着の西陣織ドレス。 |
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▼選定理由 ・ 技術的限界への挑戦と物語性の融合: 直線的な部材を組み合わせる組子細工において困難とされる「円筒形」を高い技術力で実現し、複数の伝統柄を用いて情緒的な「故郷の風景」を描き出した、新たな表現の可能性が評価されました。 |
▼選定理由 ・ 情緒的価値と伝統の拡張: 西陣織を単なる素材としてではなく、母娘の絆を受け継ぐ象徴へと昇華させた物語性が高く評価されました。和装の素材をドレスへと展開し、伝統工芸が人生の節目に寄り添う新たな形を提示した点も選定の決め手となりました。 |



